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太平洋岸自転車道6

この旅最大のハプニングが起きた。



道に迷ったのだ。



朝起きると、宿の主人がボートで志摩の島々を案内してくれた。その後志摩を一望できる展望台にいき、美しい海を眺めるなどした。今日は和歌山まで行けるかと想定していた。

なかなかに良いペースで旅は進んでいた。


さて、太平洋岸自転車道は三重県において山側を通るルートと海側(伊勢志摩側、こちらを通っていた)がある。ちょうどT字路になっており、和歌山側から直進すれば山側、右折すれば海側へと行ける風になっている。



そのT字路の海側からやってきた俺。


信号待ちで見かける、「太平洋岸自転車道」の道しるべ。


疲れで困憊している脳。


間違えないはずもなく...



こうしていーじすは逆走を始めた。



異変に気がついたのは2つ山を超えてからだった。


何かおかしい。


川の流れが、左から右へと流れている。

その勘を頼りに、GoogleMapを見ると、嫌な予感はあたっていた。


残るのは絶望である。


ここから海側へ戻るには2つの選択肢があった。


1つは来た道を戻るルート。これは山2つ超える。


2つ目は海側へ出るルート。これは超える山は1つだが、険しい道だと予想される。


迷った末、宿を取る都合上、海側へ出るルートを取った。実は気づいた時点で15時近くなっており、下手をすると紀伊の山道で夜な夜な漕ぎ続けることになる。


それだけは避けたいと思い、2つ目の選択、険道を通ることにした。


最初は普通の山道だった。


次第に道幅が狭くなり、最後はもはや落ち葉や土砂が堆積し砂利道の様相を呈していた。タイヤはそれほどグリップ賀あるものではなく、舗装路専用のものなのでよく空転した。

四苦八苦してるうちに霧が立ち込めてきた。


すると、鹿が飛び出してきた。


最初は、幻覚かと思ったが、どうやら本物らしい。すぐにこちらに気づいて、逃げてしまった。

そうこうしながら、頂上につき、一番怖い下り坂に入った。

慎重にブレーキを効かせつつ、速度が出ないように最新の注意を払った。

見覚えのある道に出たことによって、なんとかトラブルを対処できた。

宿屋と飯屋が同じところにあるタイプだったので、飯を3人前ほど頼み、朝までぐっすり寝こけたのであった。


次回 温泉