こんにちは。夏暑すぎて身体の半分くらい融解している気がするアルテミスです。
暑すぎませんかね本当に。最近寝る時クーラー付けずに眠れたもんじゃないです。そのせいで寝ている間にお腹冷やして数日胃腸痛に苦しめられたりしてますが、私は元気です。
ただでさえ暑さでパンクしそうになっている状況で、高尚な話なんか初めて誰が楽しいねんって話ですよね。ですから今日はいつもみたいな小難しい話を離れて今少し卑近な話をしたいと思います。
時間のない日々であっても、夜とか電車の中とか何もやる気の起きない休日とか、そういうタイミングに時間を浪費するコンテンツの一つが「映画」じゃないでしょうか。私自身も良く映画は見るんですよ。夏の時期と言う事で中々外に出る気も起きず、冷房ガンガンに効かせた中で映画見るのは結構楽しいので、折角この季節ですからこの話をしていきたいと思います。
私が映画に限らず色々な作品に対して良い悪いを判定する基準に、「質感があるかどうか」と言う勝手なものを持ってます。
リアル世界を舞台にした作品にせよ仮想世界にせよ、その世界なりの作り込みや設定が必要でしょうし、登場人物の性格から机の上の置物一つまで、その作品の世界に没入させるための仕掛けが必要です。
水戸黄門に欧米人が出てきたら違和感が凄まじいように、その世界観なりの説得力が欲しいんですよね。例えば異世界で剣と弓で戦っているような中で急に航空機が飛んで来たり「電報です!」とか時代設定ぶっ壊れた描写が出てきたら急にクオリティが下がって見える。
たとえ架空の世界でも置物一つに至るまでその世界観の説得力を持たせるものであってほしいし、そのために設定をとことんまで深堀りしてほしいのです。
例えば現実とめちゃくちゃ乖離した描写(超常現象みたいな?)を科学的根拠と言わずともそれなりの理由の裏付けなしにデカく描きまくったり(異世界転生したらチート能力持ってた的な)、映像描写だけじゃ理解不可能な現象を誰かが延々と説明口調で語り続けたり(宇宙戦〇ヤマト22〇2…)されると、質感が薄く感じちゃいます。
これは完全に趣味の問題なのですが、私的には時代考証だとかその世界観なりのコッタ設定が欲しいと思うのです。ただこれって仮想世界じゃなかなか難しくて、銀河英雄伝説は驚くべき程に作り込まれた設定で、人一人で描ける限界に挑戦したような小説ですが、それでも見返すと政治のお話とかはもう少し作り込めなかったのかと突っ込みたくもなるのです(この話はいつかどこかで…)。
こうなってくると結局一番質感があるのは、現実そのものを映画に落とし込んだ歴史映画って事になってしまうのです。そりゃ現実世界の歴史事件を映画化しているのですから、設定のリアリティがないだなんて言えないでしょう。
そういう理由で私は硬派の歴史映画が好みなのです。と言う訳でこの先は私が好きかつオススメしたい映画とその理由について書いていきたいと思います。
先に書いておくと歴史映画の中でも割と戦争映画が好きではあるのですが、「戦争の悲惨さを伝える映画」にも「戦争を礼賛する映画」にも興味はないです。そういう政治的主張が盛り込まれた作品は、その意図が透けて見えてしまってあんまり好きじゃないんですよね。
私が好きな作品は戦争の脅威や恐怖に立ち向かって乗り越える人を描いた作品です。
1:エリザベス・ゴールデンエイジ
アマプラに上がっているのでリンクを貼っておきます。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00JXEL8DM/ref=atv_dp_share_cu_r
かの有名なエリザベス1世率いるイングランドと、フェリペ2世のスペインの戦いに焦点を当てて描かれています。無敵艦隊の脅威に立ち向かうエリザベスの過ちや悩み、情感の揺らめきが前面に出ており、危機に立ち向かう指導者の内心を等身大に描いた点が魅力的です。この先もそうですが、戦争を描いた作品では大概悪者にされがちな国家のリーダーを等身大スケールで描き、彼らがどのように危機に向き合ったかを描く作品が私は好きですね。
終盤の海戦シーンも映像描写と音響の迫力が高く、時代考証もしっかりされているため歴史の授業で流しても良いかも……と思ったのですが流石に子供には見せられないシーンもあるので無理でしょうな。
2:ワーテルロー
無断転載なのでリンクは貼りませんが、ニコニコ動画に上がっています。
名前の通り、エルバ島の追放から帰還したナポレオンが彼の最後の決戦であるワーテルローの戦いに挑む姿を描いた作品です。
この映画はかなり古くて1970年公開だとか。しかし現代でも色褪せない素晴らしさの理由の一つは、当時のソ連軍が撮影を担い、2万人ものエキストラが参加して大迫力の戦いを等身大スケールで再現しているところです。
長蛇の隊列や数千人の戦列歩兵が居並ぶシーンがCGなしで当たり前みたいに出て来るので、そのリアルなスケール観に圧倒されます。スコッツグレイズやネイ元帥の騎兵隊突撃や老親衛隊の前身のシーンとか本当にすごい。
また最後の戦いに挑むナポレオンの内心を手に取るように描き出したヒューマンドラマも必見ですね。ナポレオンとウェリントン、二人の葛藤や決断が、最強のライバル同士の決戦と言う感じを醸し出して良いんですわ。
3:ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07FMLVJS4/ref=atv_dp_share_cu_r
アマプラにありますので是非見てほしいです。
主演がゲイリー・オールドマンって言われて納得できる人の方が少数派じゃないですかね?シリウス・ブラックがチャーチルを演じるなんて想像不可能ですわ。でもちゃんとチャーチルらしい風貌になっているし、チェンバレンもめっちゃ似てる。何より皆英語がしっかりイギリス英語なんですよね。そういうところが大切なんですよ…
第二次大戦冒頭、ヒトラー率いるドイツ軍が欧州を席巻し、フランスすら敗退してイギリスが孤立する中で首相に就いたチャーチルが、講和を主張する閣僚たちに囲まれてどのようにヒトラーに立ち向かったかが描かれています。
印象的なのは兵士を死地に送り込む首相チャーチルとて全く人格的に完成されていない粗野で乱暴で遠慮がない、その一方で繊細な一面も持つ一人の未完成の人間であり、その彼が周囲の和平派や自身の迷いとどのように戦い、ヒトラーと最後まで戦う決意をイギリスが固めたかを映し出したところです。
過去に幾度も失敗や失脚を重ねて来た人で、完璧で優秀な人物などでは到底なかった彼が何故ヒトラーに勝利する偉大な指導者となったのか。実は「好きな歴史上の人物は?」と聞かれたら迷いなくチャーチルと答える私にとってはとても良い映画でした。
4:13デイズ
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0786TPR6H/ref=atv_dp_share_cu_r
折角素晴らしい映画なのに、アマプラで観れなくなったのは残念過ぎますね。
キューバ危機で核戦争の脅威に立ち向かったケネディ兄弟に焦点を当てた作品です。
軍事的圧力を強めるソ連軍、即時攻撃を主張する米軍首脳部の板挟みに遭い、ケネディが戦争回避のために死力を尽くす姿が描かれています。ソ連との全面戦争を防ぐために情報統制や裏取引も行う姿は、平和は唱えるだけでは叶えられない実例を地で映し出したと言って良いでしょう。
アメリカの地位や影響力を守らなければならずソ連に対して譲歩することはできないが、それでも武力を用いずキューバからソ連を撤退させなければならない、そして戦争を望む軍部を抑えなければならい非常に苦しい立場にあったケネディが何を悩み、何を決断したのかが余すことなく描かれたこの作品は、歴史物の映画の中で一番を争う傑作のひとつだと私は思っています。
既に3000字に上ってしまったので、本当は他にもたくさん魅力的な作品はあるのですがここまでで一回終わりにします。
総じて政治家や国の指導者が主人公のケースが多いですが、やはり戦争や平和を考えるなら一兵士のチャンバラ映画よりも遥か上の視点で指導者の姿を描いた作品の方が適していますね。
フューリーやミッドウェイ、トップガンみたいな戦争映画も良いですが、ミリタリー映画と言うよりも歴史映画としてこうした歴史に名を残した人々を描いた作品も是非オススメしたいですね。
今年末には映画「ナポレオン」が公開されます。現代の映像技術をフルに駆使してナポレオンが皇帝となり、全ヨーロッパを敵に回す過程を描くみたいで、私はめっちゃ楽しみにしてます。今後もたくさん良い映画に出会えることを願って。
それではまた、次の公演で。