やぁみんな、マーズだよ。
皆は金星という惑星を知ってるかな?
この惑星は地球に最も近く、最も似ている惑星なんだけど、
地球や火星や水星に比べて非常に過酷な環境を持つ惑星でもあるんだ。
そんな金星、実は一度科学者たちの間で
「未知の微生物が存在している可能性が高い惑星」
として注目されてたことがあるんだ。
最も、今ではやや否定の見方が強まってるっぽいけどね。
今回はそんな金星の「生命いるの?いないの?」問題についてザックリお話していこうと思う。
まず始めに、金星がどんな惑星か見てみよう。
前述したように、金星は地球に最も近くよく似た星だ。
この惑星は太陽に2番目に近い惑星で大きさと平均密度が
地球のそれとほぼ同じ。そのため質量は地球の8割ほどであり
重力も地球とさして変わらない。
自転の向きが地球と逆向きでしかも一周するのにかかる時間が
公転のそれよりも少し長いという特徴を持つけど、こうなる理由はよくわかっていない。
自転の速度が違う事に目をつむれば意外と住みやすそうな星に思えるけど
残念なことに金星の表面は非常に過酷だ。
まず、金星の大気は約96%が二酸化炭素でできている。
他にはわずかに窒素が含まれてるけど、生き物の呼吸に必要な酸素はほぼない。
しかも大気圧は非常に高く地球の90倍くらいある。これは地球の深海920メートルに
相当するんだって。そのうえ地表の温度は460度という超高温の灼熱地獄と化していて
地球上の並の生物ではとても耐えられたものじゃない。
おまけに金星のはるか上空45km~70kmには硫酸の分厚い雲が漂っている…。
うん。無理!こんなとこ誰も住めません!ってなわけで
これまで金星は「生命が存在している可能性がある惑星」とはみなされず
その可能性はかなり低いと思われていたんだ。
ただ、その考えをひっくり返す発見が2020年9月にあった。
とあるイギリス・アメリカ・日本の研究者からなる研究チームが
チリのアルマ望遠鏡とハワイのジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡を使って
金星を観測したところ、ホスフィン、あるいはリン化水素とよばれる物質が
金星の大気上層に検出されたと発表したんだ。
その量なんと地球の大気中の約1000倍。
この発表が事実なら、金星の大気上層には微生物が大量に存在する可能性がある。
というのもこのホスフィン、有機物の分解による生物学的な生成プロセスによって
発生していると考えられている。
一方地球上では嫌気性微生物と呼ばれる増殖に酸素を必要としない
微生物が存在しており、その中の一部がホスフィンを生成することができる。
この二つの情報から
『ホスフィンを生成可能な未知の嫌気性微生物が金星大気上層に大量に存在する』
という可能性を示せる…というわけだ。
微生物でも地球外惑星で繁栄していたならこれはかなりの大発見だ。
地球人類はついに新たな生命との会合を果たせる…!
…なんて思ったのも束の間。ここで残念なお知らせだ。
幾つかの別の研究グループが前述したグループとは別に再解析を試みた。
詳しいやり方はマーズはわからなかったけど、別グループ曰く
「統計的に優位な水準では検出されなかった。誤検出では?」
という結論を出した。
つまりホスフィンが金星の上空で大量に検出されたというデータそのものが
全くの間違いだったというもの。これではホスフィンを生み出す
未知の微生物が存在する可能性はほぼなくなってしまう。
また、もし仮にホスフィンが大量にあったということが事実だとしても
実は生物の活動を一切使用しない全く未知のホスフィン生成プロセスが
金星にありました~なんていう可能性も残ってる。
これはこれで凄い発見だが、ホスフィンが未知の非生物的なプロセスのみで
生み出されたと証明されたら、やはりホスフィンを生み出す微生物の可能性は
低くなる。
そんな訳で、金星は一時「未知の微生物が大量に存在するかもしれない惑星」
として注目されたけど、あっという間にその可能性を否定され
話題に上がらなくなってしまった。うーん悲しいかなぁ。
とまぁこんな感じで、地球人類は同じ太陽系に住んでいるかもしれない
地球外生命体を追い求めて日々研究している。
今この時も科学者たちは研究データを山のように積んでいるだろう。
いつか同じ太陽の元で生きる生命に出会えるといいね。
それではまた。ばいば~い。